vol.45 甘くはありません

今回の食べ歩き
Plaisir de l’oeufのキッシュ →→









今こうしてお菓子と関わる仕事をすると知ってか知らずか、国語学を学んでいた学生時代、多義語の授業のレポートで<甘い>を取り上げた私。
甘いお菓子、甘い言葉、甘い生活に詰めが甘い、蓋が甘い、等々。
言葉として多くの意味合いを持つ<甘い>ですが、味としての<甘い>だって人それぞれの感覚だし、<甘い>って奥が深い。
以前私が作るお菓子について‘甘さについてはどうですか?’と聞かれたことがあります。
‘甘さは控え目にしています’といった趣旨の返答を期待しての質問だったのかもしれませんが、甘さに関しては特に控えているつもりもないし、かといって、伝統的なフランス風のしっかりした甘さにこだわっている気概もありません。
それぞれのお菓子にちょうどいいと感じる甘さにしているので、相対的にみると、お菓子によってはさほど甘さの強くないものもあれば、しっかり甘いものもある、といった具合です。


けれど、今年になって一つ学習をしました。
2月上旬からから2ヶ月の期間限定で出していた
<翠>、甘いホワイトチョコレートがたっぷり入っているので、人によっては甘さが強すぎるのかな?と思っていたのですが、‘甘さ控え目’‘男性向きの甘さ’といった感想がちらほら。
生地に混ぜ込んだホワイトチョコレートや、お皿に添えたアイスやソースの甘さよりも、ケーキ本体の主役である足柄茶の風味、苦味を感じられる一皿に仕上がったんだと思うと大成功なのですが、予想とは真逆の感想にちょっとびっくり。
試行錯誤で連日試食している私と、寒い中カフェに来てくださるお客様の、甘さに対する感覚の違いもあるのかもしれない、、、と学習した次第です。
5月後半とはいえ日が陰ると日中でも時折長袖が欲しくなる箱根ですが、カフェでは夏を通り越して9月からの限定メニューの試作を開始しています。
夏の余韻の残る9月、カフェに来てくださるお客様の気持ちもあわせ、おいしいと感じられる一皿に仕上げられればと思います。
新しいケーキを完成させる道のりは毎度甘くはありませんが、秋をお楽しみに♪



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